カレーライス

料理はちっとも好きではない。ひとりならコンビニで適当に。などという楽なことが出来るけれど、あたしには別れた旦那さんとの間に2人子どもがいるので、嫌でもご飯は作らなくてはならない。

もともとが食べること自体嫌いなので、作るのも嫌いになってしまった。行列が出来る飲食店とやらに長者の列が出来るけれど、なぜそこまでして並ぶのか意味がわからない。

美味しいものをもとめにいく好奇心。並んでまで食べた感動。人はきっと、味よりも、感動を求め並ぶに違いないと思う。

煮込みようの牛タンを買ってきて、カレーを作った。煮込みがあますぎたせいで、タンが固くって、息子が、超かてー!  かてー! と、愚痴りながらもたくさんのカレールーをご飯にかけ、ほおばった。

彼は来年高校を卒業する。

 

あたしのまずい料理で育った息子だけれど、彼なりに自分の道を歩んでいる。

今日食べた牛タンカレーも、ある意味人生の中で小さくのこる母の味になるかと思うと、もう少し煮込めばよかったな。と、後悔先に立たず。という、昔ながらの言葉が脳裏をかすめる。

 

寒い日だから。よく噛めば身体温まるよ。

息子は自室に戻っていった。綺麗に食べてあるお皿を洗うあたしは、こんな日常が嫌いではない。