別れても別れても

不倫していた彼からたまにメールがくる。だいたい2週間おきくらいだ。暇な日の時間があるときの遅くなっても大丈夫な日の3つがうまく重なった日=性欲が溜まって来た日にメールがくる。

あたしの方は風俗の仕事のおかげ(おかげではない)で性欲は食傷気味だ。ただ、好きな男(なおちゃん)に抱いてもらえないことが不満なのだけれど、よく考えてみたら別に欲求を満たしたくて、なおちゃんに抱かれたいのではないことに気づく。ただ純粋に抱きしめて欲しいだけなのだ。抱いてではなく、抱きしめて。の5文字を口にすれば済むことだったのだ。

不倫をしていた彼にまた、抱かれた。抱かれたというより抱きしめられた。愛しすぎて憎んだりもしたし、彼のためにどれだけ涙を流したかわからない。

 

無論奥さんにもばれて、あたしの方も旦那にばれて離婚をしたのに、彼は離婚をしなかった。

男の浮気と女の浮気は違うんだとつくづく思った。

別れても別れてもどうしても身体を重ねてしまう。

けれど、実は重ねているのは、身体ではなく心かもしれない。憎さも、愛おしさも通り越した今。

彼、修ちゃんの存在はなくてはならないものだと痛感するも、その裏側の背徳感と罪悪感だけは毎回拭えず、あたしの乱れた心はいつ律すればいいのか全く皆無なまま、修ちゃんに背中を噛まれ、ひどい声をベッドに落としあたしは、奈落に突き落とされる。

あたしを熟知している修ちゃんは、あたしの心を解放するけれど、逆もしかりで、あたしの心を閉ざしているのかもしれない。