港へ
よい天気だったので、車を走らせ5キロほど離れた埠頭に写真を撮りに出かけた。
起きたのがお昼まえだったこともあり、途中、コンビニでカフェラテとクロワッサンを買う。クロワッサンはセブンイレブンのが大好き。バターの風味がしっかりしている。
写真なんて撮っている場合ではなく、職安に行くべきかとも悩んだけれど、車は埠頭に頭を向けていた。
港には船がとまっていて、川向こうに工場がひしめきあうように並んでおり、高くて太い煙突からは、真っ白な煙が煙幕のように風に乗って横たわっている。
無心にシャッターを切る。
本当は入っていけない領域の場所だったけれど、警備員さんがよい方で特別入れてくれた。
何枚か撮ったあと、お礼を言い車に乗り込んだ。
写真を撮ったあと、確認するのが好きだ。
日差しがきつかったこともあり、露出がうまくいかなくて何枚かは削除する。
写真は不要なものは削除すればいいけれど、現実は不要になってもそうかんたんに削除はできない。
疲れた。
ぼそっとつぶやきあたしは、元来た道に戻ってゆく。
何をしていても、気分が晴れることはなくって、またセブンイレブンに止まり、カフェラテとクロワッサンを買う。
あたしは醜い身体をしている。
食べたものを吐きたい。
食べておいて後悔の渦があたしをとりまく。
けれど、外なので嘔吐だけは堪えることできた。
雲ひとつない空を見上げあたしはため息をつく。