引きこもり
朝目がさめたら、9時半だった。起きてもやることがないと思い、また目を閉じる。別に何をしているわけでもないが、眠くて眠くて睡眠を貪り、もう布団から出たくない事態におちいりつつある今日このごろ。
11時くらいにおきて、洗濯と掃除を軽くしたあと、
カフェラテにバターロール2個を食す。バターロールの賞味期限をみたら賞味期限が10日も過ぎていた。
8個入りの中にバターもどきのマーガリンが入っているもので、大概子どもらが途中まで食べてあとは、要らなくなり、最終的にはあたしが食べるハメになるのだから賞味期限も切れるわけだ。けれど、10日も過ぎているにもかかわらず、カビでもないし、オーブンで軽く焼けばなんら変わりなく美味しい。
バターロールが口の中で暴れる。風味はしっかりとバターだ。
2個では足りず、冷蔵庫を開けるも何もなく、低脂肪牛乳をコップになみなみと注ぎ、一気に飲んだ。
低脂肪牛乳は嫌いなのに、間違えて買ってきたのは息子だ。もう。
昼前になり、娘さんがひょこっと帰ってきて、
『テストだから。早いよ』
知らなかったあたしは、慌てる。とても。昼飯を用意しなければならない。何もないのに。
冷凍庫の中に冷凍うどんが1つだけあったので、めんつゆを薄めうどんにした。
至極シンプル。卵しかのっていない。
娘さんは何も言わずにズーズと食す。
『明日も早いよ』
『うん。あすはきちんとつくるからね』
かわいい横顔の娘さんは、顔を紅潮させうどんをすする。15歳なのに、かわいくて仕方がない。親バカしかり。
ガチャリ。
玄関が開いた。まさか!まさか!
息子もテストだから早く帰ってきたのだ。
本当に食べるものがなにもない。どうしよう。
『なんかある?』
あ、う、口ごもっていると、
『いつものところいくから。300円ね』
あ、うん。頷き300円を息子の手に落とす。
彼は制服のまま、うちから3分の第二の母の味。
あたしは料理が嫌いだ。
息子はいつの間にか松屋がお袋の味になっている。
あすはきちんと昼飯作ろうと決めて、今からスパーに行く。まあ、いっか。スッピンで。マスクすれば。
外は別に寒くない。けれど異様な厚着のあたしは変な人に見えるに違いない。