別れても別れても
不倫していた彼からたまにメールがくる。だいたい2週間おきくらいだ。暇な日の時間があるときの遅くなっても大丈夫な日の3つがうまく重なった日=性欲が溜まって来た日にメールがくる。
あたしの方は風俗の仕事のおかげ(おかげではない)で性欲は食傷気味だ。ただ、好きな男(なおちゃん)に抱いてもらえないことが不満なのだけれど、よく考えてみたら別に欲求を満たしたくて、なおちゃんに抱かれたいのではないことに気づく。ただ純粋に抱きしめて欲しいだけなのだ。抱いてではなく、抱きしめて。の5文字を口にすれば済むことだったのだ。
不倫をしていた彼にまた、抱かれた。抱かれたというより抱きしめられた。愛しすぎて憎んだりもしたし、彼のためにどれだけ涙を流したかわからない。
無論奥さんにもばれて、あたしの方も旦那にばれて離婚をしたのに、彼は離婚をしなかった。
男の浮気と女の浮気は違うんだとつくづく思った。
別れても別れてもどうしても身体を重ねてしまう。
けれど、実は重ねているのは、身体ではなく心かもしれない。憎さも、愛おしさも通り越した今。
彼、修ちゃんの存在はなくてはならないものだと痛感するも、その裏側の背徳感と罪悪感だけは毎回拭えず、あたしの乱れた心はいつ律すればいいのか全く皆無なまま、修ちゃんに背中を噛まれ、ひどい声をベッドに落としあたしは、奈落に突き落とされる。
あたしを熟知している修ちゃんは、あたしの心を解放するけれど、逆もしかりで、あたしの心を閉ざしているのかもしれない。
ゆうきくん
デリヘルの仕事で隣の隣の隣町まで行った。
1時間を要する遠征。往復2時間。遠い。無駄な時間だよ。と、ドライバーのゆうきくんに嫌味をぶつける。無駄にといえば、ゆうきくんも無駄に顔がいい。あたしより、6歳下の男の子だ。
遠いので車に酔うので、寝ていたら、
あ!すごい!
と、運転席から声がし目をあけ窓の外に目を向けると一面に広がる電飾の夜警が、煌々とひかり、揺れていた。
遠くに来てよかったことにしてください。ゆうきくんがあたしに一瞥したしなめる。
あたしは何も言わず、ただ、夜景に目を落とす。
確かにそうだよね。ゆうきくんが悪いわけでもないのに憮然とした態度を取ったあたしはなんて稚拙なのだろうと反省し、酔いながらブログを書いている。
やばいなぁ。本当に吐きそう。
日曜日
朝、起きたらなおちゃんはいなく、日曜日恒例のスポーツクラブに行ったらしい。
昨夜はなおちゃんが飲み過ぎで22時には寝てしまい、あたしもお腹いっぱいの中(すき焼きだった)迂闊にも寝てしまい、夜中の3時に互いに目が覚め、やばー、かなり寝ちゃってもう、寝れんね。などと言いながらまた、ビールのプルタブを開け飲んでいた。
あたしもノンアルビールで付き合い、4時ごろまた布団に入る。なおちゃんがあたしの服の中に手を入れ乳首をなではじめたので、思わず感じてしまい、あ、いや、などと可愛らしく声を荒げてみたが、それ以上はなく、いつの間にか、お互い寝てしまったようだ。
目が覚めたら10時だった。ローソンに行きカフェラテとクロワッサンを買い、イートインで食べた。
ひどく天気がいいけれど、無職なあたしは毎日ご機嫌が不安定なのだ。
また、セックスしなかった。
なんで抱いてくれないのだろう。訊けない。
セックスレス
付き合ってからもうすぐ半年だけれど、最初の方から飛ばしすぎて連泊し、セックスばかりしていたせいで、すでにセックスレス気味になっている。あたしはものすごくしたいのに、なおちゃんはあたしの胸やら、あそこやらを触るだけで、抱こうとはしない。土日休みなので、趣味の多いなおちゃんは、あたしを残し朝から出掛けてしまう。あたしはその間洗濯と掃除をしておく。けれど今日は昼に一旦戻ってきてから、午後から仕事。と、あたしと視線を合わせずに、作業着を着て出掛けて行った。土曜日に午後出とか1度も聞いたことがない。仕草も嘘っぽくあたしの胸は尋常ではない気分だった。
他の女と会っているのだろうか。ふと、思う。彼は無駄に顔がいい。鷹揚な性格に、実はモテていることを知らないという鈍感さがこれまたかわいい。
あたしは無職だし、(フーゾク嬢はしらないから)綺麗でも若くもない。
浮気を疑ぐるあたしだけれど、おんなの感は鋭いということを忘れないでいただきたい。
怪しいなぁと思うと必ず怪しいことをしているのが、今までのパターン。火のないところに煙は立たない。
まさにそれだ。
本格的に
なおちゃんちの最寄駅に自転車を置いてきてしまい、自転車を預かる期間が1週間だと書いてあったので取りにいった。
寒すぎる。突き刺さる寒さの風が顔に直面する。挙句あたしは風邪気味である。
死に物狂いで漫画喫茶に入り、原稿を書いた。
たくさん原稿がかけたので、良かったといえば良かったのだけれど、なにせ、延長料金がやばいな。
1時間以上は延長している。
あー!っと叫びたい気持ちを抑え、あたしは眉間を抑えている。
昔の顔
風邪をひき頭痛がひどく薬局に薬を買いに来たら、
仕事の連絡がきて(デリヘル)行った。すこぶる調子が悪く送迎車の中で吐きそうになった。風邪薬を飲むも頭痛は治らず、頭痛薬も飲む。あたしは、パニック障害の薬や、抗うつ剤やら薬ばかり飲んでいるので、効きが悪いのだろうか?
死にそうな青白い顔でお客さんのところへ行く。
あ!あ!と互いに見合わせ開口一番に言ったセリフは、久しぶり~だった。昔の常連さんだった。
3年ぶりくらいにあった。
彼は放射線技師で多少病院に携わる仕事をしているので、あたしが体調悪いことを告げると、呆れ顔で、寝とらんとダメ!と、叱咤された。
てゆうか、本当に熱出そう。
寒いし体調悪いし面接は落ちるし。人生の諦観を一気に味わう。
大好きなアンマンを買う。あまり味がしない。
アンマンが美味しく感じない。重症だ。
原稿の締切が年末なので、早い。あー。参る。